年俸制と残業代
年俸制だと、残業代は出ないと思っている方もおられるようです。しかし、実際のところ、年俸制であっても、法定労働時間(原則は1日8時間、週40時間)を超えて働けば、残業代(時間外労働手当)の支払いを受けることができます。その場合、年俸を1年間の所定労働時間で割ることで基礎となる収入を計算します。なお、時間外労働は最低25%の割増がありますので、その部分も忘れないようにしましょう。(深夜残業や法定休日の残業はさらに割増率が高まります)
なお、年俸に一定時間の残業が含まれていることが契約により明らかである場合は、その定められた時間を超えない限りは残業代は発生しない可能性があります。この点は、年俸制ではない通常の月給の場合も同じです。
また、労働基準法の管理監督者に当たる場合には時間外労働手当を支払う義務はないので、この点に注意が必要です。ただ、管理監督者であると認められるかどうかについては限定的に解釈されており、勤務時間に関する裁量や管理職にふさわしい待遇などいくつかの要件を満たさないと管理監督者であるとは認められない可能性が高いです。管理職であっても管理監督者とは限らないので、残業代を請求できる可能性があります。
残業代を請求したい方は、まずは弁護士にご相談ください。残業代については時効はそれぞれ本来支払われるべき日から2年(2020年4月以降に発生した分は3年)と時効が短いので、請求は急ぐことをお勧めします。