遺留分を請求できる人について(遺留分権者)

遺留分とは、一定の相続人に相続財産の一定割合を承継する権利を保証したものです。つまり、被相続人が遺言により自由に処分できない財産で、被相続人が特定の相続人に対して最低限残さざるを得ない遺産の部分とも言えます。

では、どのような相続人が、遺留分を持っているのでしょうか。遺留分を持っている相続人のことを「遺留分権利者」と呼びますが、まずは、どのような人がこの権利を持っているのか、見ていきましょう。

 

〈誰が遺留分権を行使することができるのか〉

法律上、遺留分権利者は、被相続人の配偶者、子、直系尊属であり、子の代襲相続人も、被代襲相続人である子と同じ遺留分を持つとされていますが、兄弟姉妹には遺留分はないとされています(民法1028条)。

代襲相続とは、本来相続人となるべき人が、被相続人(今回亡くなった人)より先に亡くなっている場合に、本来相続人となるべき人の子などが、代わりに相続をすることを指します。

例えば、祖父母、父、子(ここでは本人Aとします)一人という家族において、祖父が亡くなった場合、本来であれば、祖父の配偶者である祖母と、子である父が相続人となります。

しかし、ここで、祖父より先に父が亡くなっていた場合、父が相続することはできないので、子であるAが父の代わりに祖父の相続人になることになります。これが、代襲相続です。

相続欠格、排除、相続放棄により相続権を失っている人には遺留分はありませんが、相続欠格と廃除の場合には、代襲相続が開始することになりますので、欠格・廃除となった者の直系卑属が遺留分権利者となります(民法1044条、887条2項、同3項)。

なお、胎児は生きて生まれれば、子としての遺留分を持つとされています(民法886条)。

 

〈各遺留分権利者の持つ遺留分〉

上記のように、法律上は遺留分権利者が規定されていますが、全ての権利者が同じ遺留分を持っているわけではなく、権利者の続柄・相続人が誰であるかによって、遺留分の割合は異なることになります。

まず、遺留分には、遺留分権利者全体に残されるべき、遺産全対に対する遺留分の割合を指す「総体的遺留分」と、総体的遺留分の割合に法定相続分の割合を乗じた「個別的遺留分」があります。したがって、基本の算定式は、個別的遺留分=総体的遺留分×法定相続分の割合となります。

相続人の組み合わせごとに個別的遺留分を計算すると、だいたい以下のようになります。

 

①相続人が配偶者と子である場合

配偶者・・・・4分の1
子・・・・・・4分の1(子が複数いる場合には、4分の1を均等割り)

 

②相続人が配偶者と直系尊属(父母)である場合

配偶者・・・・3分の1
直系尊属・・・6分の1(父母共に健在なら12分の1)

 

③相続人が配偶者のみである場合

配偶者・・・・2分の1

 

④相続人が配偶者と兄弟姉妹である場合

配偶者・・・・2分の1
兄弟姉妹・・・なし

 

このように、兄弟姉妹やその代襲相続人(兄弟姉妹がすでに死亡している場合のその子)には遺留分がないため、子がいない方が配偶者に遺産を全部残したい場合には遺言は効果的な方法ということができます。

 

〈最後に〉

自分にも遺留分があるのではないか、遺留分が侵害されているかわからないが、時効が迫っているのでどうにかしたいという方は、ぜひ当事務所にご相談ください。

 

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