遺産分割において戸籍謄本等を集める必要がある理由

遺産分割とは何か?

「遺産分割」とはどういうことを指すのか、「相続」とどう違うのか、疑問に思ったことはないでしょうか。民法上、人が亡くなると、直ちに「相続」は発生します。つまり、亡くなった方はもはや所有権の主体(つまり、持ち主)であり続けることはできないので、妻や子などの相続人がその瞬間に相続して、新たな所有者となります。
もし、相続人が1名だけであれば、被相続人(亡くなった方)の遺産のすべてについて、その相続人が新たな所有者となり、相続は終了です。しかし、相続人が複数いる場合は、不動産、預貯金、自動車、などの各種遺産は、相続人の間で共有状態となり、そのままでは単独の所有権者となることができません。(ただし、貸金返還請求権のように分けて権利行使できる債権は「可分債権」といい、当然に分割されると解されています) そうすると、利用、管理、売却などの処分に様々な制約がかかり、不便なままになってしまいます。
そこで、だれがどの遺産を取得するかということを具体的に決める必要があります。この作業を「遺産分割」といいます。

遺産分割の方法 

遺産分割を行うには、協議で行う方法、裁判所に調停や審判を申し立てることで行う方法があります。通常は、まず遺産分割協議を行い、うまくいかなかったら調停を申し立てます。調停でもまとまらない場合、裁判所が調停を打ち切ると決めた場合、自動的に審判に移行します。

遺産分割において戸籍が必要となる場面

まず、遺産分割協議により決定する場合を考えてみます。遺産分割協議においては、すべての相続人を対象にしないと、合意をしても無効になってしまいます。そこで、遺産分割協議を始める段階でだれが相続人であるか、調査する必要があります。そのためには、被相続人について、出生から死亡までの戸籍(除籍、改正原戸籍を含む)を取得して、確認する必要があります。すなわち、被相続の子について、また、子がいない場合は親などの直系尊属がいないか、もし子がいなくて直系尊属がすべて亡くなっている場合は兄弟姉妹について、戸籍の調査で調べて、相続人がだれであるかを確認する必要があります。
たしかに、通常は、被相続人の子が何人いるか、などは家族の方はご存じだとは思いますが、知らないところに子がいるようなケースもあるので、戸籍による調査が必要となります。
もし、これを行わずに知っている相続人だけで合意をしても、土地の登記や銀行口座の名義変更等、実際に遺産分割を行う際に出生から死亡までの登記簿謄本が必要となり、そこでこれまで知らなかった相続人が発見されたりすると、遺産分割協議は無効となり、やり直しが必要となってしまいます。それゆえ、最初に出生から死亡までの戸籍を調査して、相続人の範囲を確定させることが望ましいといえます。

また、遺産分割の調停を申し立てる場合には、出生から死亡までの戸籍謄本等を集めて申し立てを行うことが求められており、これが不足したまま申し立てをしても、裁判所から追完を求められます。それゆえ、調停の場合は、申し立ての時点で必ず戸籍謄本等をそろえないといけません。

戸籍謄本等の集め方

戸籍謄本等は、本籍地の市町村役場に請求します。郵送でも可能です。ただ、出生までさかのぼっていく必要があり、途中で本籍地が変わっていると、当時の本籍地の役場に請求しないといけません。それゆえ、結果として、いくつもの役場に請求をしないといけないこともあり、時間がかかる作業となります。また、改正原戸籍は手書きで読みにくいことも多く、慣れていないと、さかのぼっていく作業も手間がかかることがあります。

弁護士に依頼する場合

このように手間がかかる作業も、遺産分割協議、調停や審判を弁護士に依頼しているときは、弁護士が行うので、ご本人様はする必要がありません。このように、手間のかかる手続きを弁護士に任せられるのも、遺産分割の交渉等を弁護士に依頼するメリットということができます。

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