オフィスの賃貸借に関するトラブルについて
オフィスの賃貸借について、以下のようなトラブルが考えられます。
原状回復請求に関するトラブル
原状回復に関して、利用中に傷をつけた、設備を壊した、などという理由で敷金から引くとして返金しない、あるいは、敷金を引いた上に原状回復費用として支払いを請求してくる、という場合があります。
これについては、事実関係、および、評価、が問題になります。すなわち、実際に賃借中に傷をつけるなど汚損が生じたのか、という事実の問題がまずあります。そして、それが事実だとしても、実際に賃借人の原状回復義務に含まれるかどうか、含まれるとしても、どの範囲で義務が生じるか、という評価の問題があります。その汚損が原状回復義務に含まれるとしても、減価償却がされるべきではないか、また、修理の範囲が過大ではないか、という形で反論できる場合もあります。また、住居の場合と比べて特約が有効とされる範囲が広いと考えられているので注意が必要です。
法的な問題については、弁護士が対応できますが、事実関係に関しては、入居時に写真を撮っておく、特に壊れている部分や汚損している部分については写真を撮っておく、現況確認書の交付を受け内容に違いがないか確認する、また、退去時にも立ち合いをして確認書を双方の合意の元作成する、など、当事者が記録を残しておくことも重要になります。
途中退去に関するトラブル
途中で解約して退去しようとすると、契約書に定められているとして違約金の支払いを求められる場合があります。そのような特約が公序良俗に反するものではないか、確認する必要があります。
設備の故障に関するトラブル
借りている物件の設備に関して何らかの不具合が生じることはよくあると思います。これについては民法の定めがあり、賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う(606条)とされています。そこで設備の故障に関しては原則として賃貸人が直す義務を負います。そこで、オーナーさんが対処してくれない場合は、履行を請求したり、場合によっては通知をしたうえで相当な期間を経た後に自ら修理して(607条の2 1項)、費用を賃貸人に請求する(608条1項)ことが考えられます。
また、使用、収益の差しさわりがあった場合は、家賃を減額して支払う(611条1項)という対抗手段もあります。程度によっては解約もできます(611条2項)。
なお、設備に関してどこまでが賃貸人の義務とされているか、また、特約で変更されている部分がないか、この点については契約書の確認が必要です。
用法違反に関するトラブル
当初の契約と異なり目的で使うことは原則として認められず解約の理由になりますが、実質的に賃貸人や他の賃借人など周辺環境に影響を与えない軽微な違反の場合には、信頼関係の破壊にまでは至っていないとして賃貸人からの一方的な解約は認められないという結論になることもあります。この問題については多くの判例があります。
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当事務所では、原状回復費請求、敷金返還請求、用法違反による退去請求、未払い家賃請求、など不動産賃貸借に関する様々な事案について、相談や依頼を受けてきました。所有者(賃貸人)側からの相談や依頼もあれば、賃借人側からの相談、依頼も受けてきました。不動産賃貸借に関するトラブルに巻き込まれたという場合は、まずは、ご相談ください。お電話または電子メールでご予約の上、当事務所までご来訪をお願いします。