【コラム】遺産分割における不動産の評価方法
遺産に土地や建物などの不動産がある場合には、それをいくらで評価するかという問題が発生します。
すなわち、遺産分割においては遺産の総額及び各相続人の法定相続分の計算のためには遺産である不動産の価値を明らかにする必要があり、また、具体的な分割においても不動産を承継した相続人が代償金を支払う必要があるか、あるとすればいくら支払わなくてはならないか、を決めるうえでも不動産の評価は欠かせません。特に、土地の評価が問題になりがちです。
ここで、不動産評価の具体的な方法としては、路線価を使う、不動産業者の査定を用いる、鑑定を行う、などの方法があります。
一般的には、路線価は実勢価格に比べて低めであり、一方、不動産業者の査定は高めになる傾向があるといわれています。ただ、不動産業者の査定は業者によりまちまちであり、どこまで信頼性があるかという問題はあります。
通常、遺産分割について交渉でまとまらなければ家庭裁判所での調停を行ない、それでもまとまらない場合には審判に移行しますが、審判の場合には、当事者間で評価方法について合意ができない場合、鑑定を行うこととなります。鑑定の場合、費用を当事者が支払わなくてはならない点に注意が必要です。
なお、不動産の評価を行う際に、どの時点の価格を用いるかという問題がありますが、原則として遺産分割時における価格を用いるべきであると解されています。
ただし、特別受益の評価においては、相続開始時点(つまり、被相続人が亡くなった時点)の価格で評価するという考えが一般的です。
不動産の評価も遺産分割において問題になりやすいところです。この問題で悩んでおられる方は、まずは弁護士にご相談ください。