【コラム】遺産分割の流れ
遺産分割は、通常、まず交渉から始まります。
この際、遺産の範囲と相続人の範囲を明らかにして、すべての遺産について、すべての相続人と協議することが重要です。相続人の一部が抜けていると合意に至っても無効になってしまうし、遺産についても抜けているものがあると無効になる場合があります。
合意に至れば、遺産分割協議書を作成し、不動産の登記、預貯金や証券などの名義変更、などの手続きを行って遺産分割は終了します。
しかし、合意に至ることができない場合に解決しようとすれば、家庭裁判所に調停を申し立てることになります。(ただ、交渉がうまくいかなくてもすぐに調停を申し立てる義務はありません。しかし、自分が申し立てなくても他の相続人が申立てを行なったら調停は始まってしまいます)
調停では合意に至れば、調停調書が作成され、これによって不動産の登記変更、預貯金や証券などの名義変更、などの手続きを行うことができます。
一方、合意に至らなければ、審判に移行します。審判を申し立てなくても、調停の不成立で自動的に審判に移行します。
審判では、当事者は主張や資料の提出ができますが、最終的に裁判所が分割方法を決定します。確定すれば強制力を持ちます。なお、審判で寄与分を認めてもらうためにはまず寄与分を定める審判の申し立てが必要です。寄与分を定める審判の申し立てには期間制限がなされることがあるので注意が必要です。
一方、送達を受けてから2週間以内に即時抗告を行なえば高等裁判所に移行します。高等裁判所では審判内容について審理がなされ、判断がなされます。
それに対しても最高裁への特別抗告や許可抗告という手続きがありますが期間制限が告知を受けてから5日間と短いのと、認められる可能性が一般的には低いことに注意が必要です。
なお、個別の案件について即時抗告、特別抗告、許可抗告の期限については裁判所に直接確認することをお勧めします。(勘違いしていると大変ですので)
このように、遺産分割については最高裁まで争われる場合もあるのですが、大半のケースでは、交渉か調停で解決しています。審判まで進むケースは比較的少数です。
いずれの段階でも、弁護士が代理人として対応することができますので、まずはご相談ください。