【コラム】全員一致が必要なので難しい
もし、遺言がないまま亡くなった場合、相続人が複数いれば、話し合いで遺産を分けることになります。
もっとも、貸付金や過払い金返還請求権のように性質上分けて行使できる債権は可分債権と言って法定相続分で当然に分割されると解されますが(その場合も協議の対象にすることは可能と解されています)、不動産などは相続人間で協議して分割する必要があります。銀行預貯金は一部種類のものを除いて可分債権として原則として法定相続分で当然分割されるとする判例がありましたが、平成28年12月29日の最高裁判例で、変更されたので、やはり、分割協議が必要とされました。
(不動産等は分割しなければ、共有のままになり、その後の利用や売却の際に不便になりがちです)
協議により分割する場合、相続人全員の同意が必要です。
それゆえ、誰か一人でも反対すると決まらない、ということになり、延々と話し合いが繰り返される場合もあります。
しかも、亡くなってから時間が経つと、相続人も亡くなり、相続人の相続人が新たに相続して、話し合いに入ってくる、という形で、相続人の数が増えていくのが一般的です。
もちろん、相続人の数が増えるに従い、一人あたりの相続分は小さくなっていくわけですが、仮に、法定相続分が1/50の相続人がいたとしても、「たった2%だから反対されても他の全員の同意で可決する」というようなことはできないのです。
そうすると、時間が経つほど解決が難しくなるのは、相続に難くありません。
では、話し合いで解決が難しい、となった場合に、どういう方法があるか、は次回お話しします。