【コラム】遺留分侵害額請求って、具体的にはどうするの?
遺留分侵害額請求とは、遺留分を侵害された相続人が、その回復を求めて請求をすることを言います。
以前は遺留分減殺請求という制度がありましたが、今回の民法改正で制度がやや変更され、名称も遺留分侵害額請求となりました。以前は個々の遺産に対して被侵害者が持ち分を回復するという仕組みでしたが、現在は、侵害された価値の分の金銭を侵害者に対して請求する仕組みになっています。
これには、期限があり、間に合うように行わなくてはいけません。
すなわち、相続の開始及び減殺すべき贈与又は遺贈があったことを知った時から1年以内に行わないと時効になり、また、知らなかったとしても相続から10年で除斥期間が経過します(つまり、権利を失います)。この点は、旧制度と変わりません。
では、急ぎ行わないといけないとして、どのような方法で請求すればよいのでしょうか?
一般的に考えられるのは、内容証明郵便で、遺留分侵害額請求をする意思を伝えるということです。
内容証明郵便であれば、通知をしたことが記録に残るからです。相手方に意思が到達した日が基準となるので、時効になる前に到着しなくてはいけません。
この通知に対して相手方が応じて金銭を交付してくれれば、解決ですが、拒まれた場合は、まずは調停をすることが考えられます。裁判ということも考えられますが、調停前置主義が定められているので、原則として、裁判を起こす前にはまず調停をすることが求められています。調停で合意ができなかった場合には、裁判を提起することができます。
いずれにせよ、具体的にいくら請求するかを決めるためには、遺産の全体像を把握して評価する必要があります。
このように、遺留分減殺請求は、実際に具体的な権利を実現するまでには、専門的な知識に基づく交渉や、場合によっては訴訟等が必要になりますので、相続に詳しい弁護士に相談することをお勧めします。
時効期間が短いので、遺留分の請求を考えている方は、早めにご相談ください。