【コラム】高齢の親の財産の管理について

親が高齢になり、預貯金や株式などの財産の管理が不安だという方は多いと思います。そのような場合、どうすればよいのでしょうか?

まず、今の時点では判断力に特に問題がない場合には、将来に備えて任意後見を検討してみると良いでしょう。

一方、現時点で判断力の低下がみられる場合は、以下のような方法が考えられます。

 

親に判断力が全くない場合

 成年後見について

 親が認知症などで判断力が全くない場合には、成年後見の申し立てをするということが考えられます。これが認められるためには、事理弁識能力がないと認められることが必要です。

成年後見の申し立てができる人

本人、配偶者、4親等内の親族、などです(民法7条)。

成年後見の手続き

家庭裁判所に申し立てをします。そうすると、家庭裁判所が審理をして、要件を満たしていれば、成年後見開始の審判をします。申し立てに際しては、診断書、戸籍抄本などの書類の添付が必要です。申立書の作成を弁護士に依頼することもできます。

成年後見が認められるためには

事理弁識能力がないことが必要です。診断書が必要なのは、裁判所がそれを判断するためです。

成年後見の効果

 後見人は、被後見人の財産を管理する権限を持ち、かつ、財産の管理について代理権を持ちます(民法859条1項)。また、被後見人の法律行為は、日用品の購入その他日常生活に関する行為を除いて、取り消すことができます(9条)。

 これを簡単に言えば、被後見人の通帳や印鑑を後見人が預かり被後見人が勝手に預貯金を使ったりできなくなること、代わりに後見人がそれらの使い方を判断すること、万が一被後見人が後見人に無断で契約などをさせられても後見人は原則として取り消せるということ、です。

成年後見の問題点

 成年後見は一度開始されると、被後見人の状態が変わらない限り、途中でやめるというわけにはいきません。また、後見人として弁護士や司法書士などの専門家が選任されると月々の報酬が必要となり(被後見人の資産から支払うのが原則)、一方で、家族が後見人になると家庭裁判所への毎月の報告が負担となります。したがって、いずれにせよ、何らかの負担が生じるということは事実です。

判断力がやや残っている場合

 判断力がやや残っているが不安がある場合には、補佐や補助の申し立てをすることも考えられます。

補佐について

補佐の申し立てができる人

本人、配偶者、四親等内の親族、などです(民法11条)。

補佐の手続き

家庭裁判所に申し立てをします。そうすると、家庭裁判所が審理をして、要件を満たしていれば、補佐開始の審判をします。申し立てに際しては、診断書、戸籍抄本などの書類の添付が必要です(それらの書類は基本的に成年後見の場合と同じです)。申立書の作成を弁護士に依頼することもできます。

補佐が認められるためには

精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分であることです。

補佐の効果

 一定の法律行為をするためには保佐人の同意が必要となります(民法13条1項)。同意が必要な行為としては、借財や保証、訴訟行為、贈与、相続の承認、相続放棄、遺産の分割、などが含まれています。さらに裁判所の判断で、同意を必要とする行為を増やすこともできます(民法13条2項)。

補佐の問題点

 成年後見と同様、状況が変わらない限り途中で外すことはできない、専門家が保佐人になると報酬が必要、家族が保佐人になると業務の負担が重いうえに家庭裁判所へ定期的に報告が必要、などの問題があります。

 

補助について

補助の申し立てができる人

本人、配偶者、四親等内の親族、などです(民法15条)。ただし、本人以外からの申し立ての場合は本人の同意が必要です。

補助の手続き

家庭裁判所に申し立てます。必要書類は基本的に成年後見や補佐と共通です。

補助が認められるためには

精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分であることが必要です。

補助の効果

家庭裁判所の審判により被補助人が特定の法律行為をするにはその補助人の同意を得なければならない旨定めることができます。ただし、本人以外からの請求の場合は本人の同意が必要です。

補助の問題点

 専門家を補助人とした場合に費用が掛かることや、家裁への報告等が負担となりうる点は後見や補佐と同様です。

また、補助の場合は、まず開始のための申し立てにおいて本人の同意がないといけません。また、特定の行為について同意を必要とする際にも本人以外からの申し立てだと本人の同意が必要な仕組みとなっています。それゆえ、本人の自覚と協力がないとこの仕組みを有効に使うことはできません。

 

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 法定後見制度(成年後見、補佐、補助)はそれぞれ要件も違い、複雑です。まずは弁護士にご相談ください。

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