セクハラ・パワハラを部下等から主張された方へ
〈はじめに〉
部下や同僚等からセクハラを主張されたり、部下からパワハラを主張されたり場合、仮に、これが事実なら、加害者は慰謝料を払う必要が生じる場合があります。また、会社による懲戒処分の可能性もあります。さらに、場合によっては、会社が責任を負うことや謝罪を求められることもありますので、いずれにしても適切な対応をとる必要があります。
そこで、最適な対処方法や解決までの流れ、これらの手続を弁護士にご依頼いただくメリットをご紹介します。
〈身に覚えのない被害を申告された場合〉
身に覚えのない被害を申告された場合、まずは、会社内部で行われる聞取調査の際に、しっかりその旨を伝えることが必要です。こちらの主張にかかわらず、処分をされた場合には、会社に損害賠償等を求めることができる場合があります。
また、虚偽の申告をした者に対しては、民事手続上、名誉権侵害を理由に損害賠償請求することも考えられますし、刑事手続上、名誉棄損罪や侮辱罪で告訴をすることも考えられます。
〈セクハラ・パワハラが事実である場合〉
セクハラ・パワハラが、残念ながら事実である場合、被害申告に対しては、真摯に、そして、迅速に対応する必要があります。
まずは、被害者への謝罪が必要です。もちろん、直接会いたくないという方もいるとは思いますので、この点については、上司等を通じて調整が必要でしょう。しかし、間違っても相手を責めるような言動は避けなければなりません。
また、場合によっては慰謝料を支払う場合もあるでしょう。身体的な接触があるかどうかによって、金額が大きく異なると考えられますが、その点だけで決まるわけでもなく、被害者の方の性的な自己決定権をどの程度侵害したのかという点も重要です。例えば、指導教官としての地位を利用して性行為にまで及んだ場合、知的障害のある従業員に性的虐待を繰りかえした場合などは、慰謝料が数百万単位にまで及んだ例もあります。
さらに、被害者の方が、ハラスメントが原因で通院をすることになった場合は、因果関係の認められる範囲で、治療関係費や休業損害等も負担することになるでしょう。
〈ご依頼いただいた場合の、解決までの流れ〉
事案によりますが、ご依頼いただいた場合は、おおむね以下のような流れになります。
・事実関係を聴取する
賠償の必要がある場合であっても、それが適正な金額であるのか、という点は十分精査する必要があります。そのため、事実関係をしっかり把握し、資料等も確認します。
・弁護士が代理人になるという受任通知を、被害者の方に送る
被害者と加害者の直接接触を避けるため、弁護士が間に入り、今後は弁護士を通して連絡をしてほしいということを伝えます。
・被害者の方の要求に応じ、賠償額の提示や謝罪文などを送付する
受任通知と合わせて送る場合もありますが、請求額に対し、いくら賠償をするのかなど、こちらの回答を伝えるとともに、交渉を行います。
・示談が成立したら、示談書を作成する
合意した内容を残しておくことは、双方にとってメリットがありますし、必ず示談書を作成する必要があります。もちろん、書類の作成も弁護士が行います。
〈弁護士にご依頼いただくメリット〉
適正な対応・適正な金額での示談が可能
セクハラ・パワハラに関しては、対応を誤ると、さらに大きな問題に発展しかねませんが、弁護士が対応することにより、事態を迅速に、かつ、適切に解決することができます。
当事者間で話す必要がない
ハラスメントの加害者・被害者同士で話すことはもちろん、会社の内部の誰かが間に入るとしても、双方との関係性などから、誰が仲介をするのか難しい面があります。しかし、弁護士にご依頼いただければ、当事者が直接話す必要も、会社の人間が立ち会う必要もありません。当事者双方や会社にとってもストレスの少ない形で進めることができます。
*なお、上記はおもに従業員の方がセクハラやパワハラを主張された際に本人にどのように対応すべきかについて解説しています。もし、お勤め先から不当な処分を受けたという場合は、勤め先の企業等に対して弁護士が代理人として交渉や訴訟を行なうという方法が考えられます。
また、会社の経営者や管理職の方が社内でパワハラやセクハラが起きたという通報を受けた場合にどのように対処すべきか、については、また別のところで触れたいと思います。
〈最後に〉
何度もお話ししているように、ハラスメントに関する問題は、迅速かつ適切に対応する必要があります。その点、弁護士は法律の専門家ですし、ハラスメントは、当事者にとってデリケートな問題であるだけに、間に代理人が入るメリットはとても大きいといえます。
ハラスメントを主張された方は、その後の対応を誤らないために、ぜひ、弁護士にご相談ください。