ご家族が逮捕されてしまった方へ
子供や夫、妻などの家族が逮捕された場合、どうすればよいでしょうか? まず、弁護士に相談すると良いでしょう。一定の範囲の親族は、本人の代わりに弁護人を選任できます。民事事件では弁護士を選任するのは本人ですが、刑事弁護に関しては家族からも選任することができます。あるいは、家族からご相談を受けて弁護士が接見に行き、本人から依頼を受ける(弁護人として選任してもらう)という方法もあります。
接見禁止が付けられていても弁護士は接見できます。それゆえ、家族から伝えたいことがあれば伝えることもできるし、物品の差し入れもできます(もちろん、差し入れできるものには限界があります)。
そして、逮捕の根拠とされた被疑事実にもよりますが、多くの場合、重要なことは早期の身柄解放です。身柄拘束のまま取り調べが続くことは精神的重圧がある状態で取り調べに応じざるを得ないことを意味し、望ましいことではありません。そして、逮捕・勾留により出勤できないことで職を失うリスクもあります。それゆえ、まずは釈放を目指して活動します。
勾留決定がされた場合ですが、
- 準抗告
により勾留決定を取り消すように求める。
- 勾留期間の延長(10日間)
がなされないように求める。
ことが考えられます。
そもそも勾留は必要性があり、逃亡の恐れがある場合や罪証隠滅の恐れがある場合しかできないとされており、一度勾留の決定がされたとしても争う余地があります。その手段として上記の準抗告があります。これは勾留決定自体の正当性を問うものです。また、必要性が事後的になくなったとして勾留取消請求をすることも考えられます。さらに、10日間の期間ののち再度10日間延長できることが刑事訴訟法では定められていますが、この必要性がないことを検察官に説明するのも弁護人がするべきことです。
また、起訴後は保釈請求が可能となります。保釈の場合は保釈金が必要となります。保釈金の額は事案によって異なり、裁判所が決定します。また、義務的保釈と裁量的保釈があり、必ずしも認められるわけではありません。ただ、以前と比べると比較的緩やかに運用されているといわれています。それゆえ、身元引受人がいて、決まった住所があり、保釈金が用意できる場合は、その他の状況にもよりますが、保釈請求を検討してみると良いと思います。もちろん、保釈が通りやすい状況かどうかについても弁護士がご説明します。
また、起訴された場合ですが、本人が犯罪の事実を認めている場合、執行猶予を勝ち取るためには家族の方に情状証人として出廷頂くなどご協力いただくこともあります(実際のところ、情状証人になることは義務ではないですが、情状証人の証言があった方が有利になる場合もあります)。
息子さんが逮捕された、娘さんが逮捕された、というような場合とても心配だと思います。また、稼ぎ頭の夫が逮捕された場合、生活の心配もあるでしょう。未成年の子どもがいる場合はなおさらだと思います。それゆえ、一刻も早く身柄の解放を勝ち取ること、また、無実の場合は嫌疑を解いてもらい不起訴を勝ち取る、起訴されても無罪判決を得ることが重要です。そして、逮捕、勾留された場合、家族は、弁護士に相談する、身元引受人になる、示談の場合に資金を準備する、など、時には重要な役割を果たすことになります。刑事手続きは最初が大事なので、家族が逮捕されたらすぐにご相談ください。